【保育士のあなたへ】『労働寿命』を延ばす方法!【腰痛に注意】

『労働寿命』の延ばし方

50.6%の保育士が「腰痛あり」と解答している。(宮崎敬士ら:「子育て支援を促進する保育士への腰痛軽減ストレッチプログラムの開発」,2023.より)

みなさんこんにちは。S所長です。

保育士として目標の年齢まで働きたいけど、体が持つか心配」「職務上、保育士さんに対する腰痛予防の支援が必要だけど、何から手を付けたらいいか分からない」と悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、腰痛予防の観点から保育士さんの『労働寿命』を延ばす方法について解説したいと思います。

S所長
S所長

この記事は次のような方に読んでほしいです。

・保育士として定年まで働きたい人

・現場で働く保育士のサポートをしたい人

「腰」と一口に言っても、腰を構成する要素は山ほどあります(椎体、椎間板、椎間関節靭帯、筋肉、神経etc…)。

その中でも、「椎間板」への負担は保育士さんの業務内容を考えると特に大きいと考えています。

      

「椎間板」は腰の衝撃を吸収するクッションの役割を担っていて、腰に重さが加わっている時・丸まっている時に椎間板への圧力が強くなります。この状態を続けていくと、椎間板は徐々に潰れていってしまいます。例えば、買ったばかりの座布団は柔らかいのに、ずっと使っていると段々と薄くなってしまいますよね。ずっと押しつぶされることで、本来のクッション性が失われていくのです。

ここまでのお話を踏まえた上で、これから解説していく「腰に負担のかかる動作」を知ることで、

  • からだの使い方
  • 環境整備

のポイントが見えてきます。それでは、どのような動作が問題となるのか見ていきましょう。

①前かがみ/持ち上げ

前かがみや持ち上げ動作は腰痛の新規発生に関連すると言われています。(独立行政法人労働者健康福祉機構:勤労者の腰痛の実態(第2報),2008.より)

この報告の裏付けとなりそうなお話が、スウェーデンの整形外科医ナッケムソン博士の行った研究で、姿勢の変化による椎間板の内圧変化を調べた物です。

この研究によると、立っている時を100とすると座っているのみでも140、そこから前かがみになっていくと185、立位での持ち上げ動作では220の圧力が椎間板に加わることを示しています。

NACHEMSON A :THE LUMBAR SPAIN.AN ORTHOPAEDIC CHALLENGE.SPAIN 1:59-71,1976

②ひねり

ひねり動作は腰痛の新規発生に関連すると言われています。(独立行政法人労働者健康福祉機構:勤労者の腰痛の実態(第2報),2008.より)

椎間板は縦方向の圧力には強い一方で、「曲げ」や「ひねり」には比較的弱い性質があると言われています。

       

体を曲げた状態でのひねりは、椎間板をすり潰すような力が加わる。そんなイメージで良いかと思われます。

   

オムツ交換

前かがみ姿勢で行うことになるため、腰部に負担がかかりやすくなります。

トイレ介助

            (厚生労働省より)

前かがみ姿勢や、体をひねる動作を強いられるため腰部に負担がかかりやすくなります。また、狭い空間で行う場合は、腰に優しいからだの使い方が困難となり、より負担が増えてしまいます。

食事介助

                (厚生労働省より)

子供の顔の高さに合わせ腰を低くする必要があり、前かがみを強いられるため、腰には負担がかかりやすくなります。また、複数の園児を相手にする場合、腰を不自然にひねることになることになり、腰には負担がかかりやすくなります。

事務作業

連絡帳や日誌を書くなどのデスクワークを、サイズの合わない子供用の机や椅子で行っている場合は要注意。前かがみを強いられ、腰に負担がかかります。

抱っこ

子供の体重がそのまま腰の負担になるのはもちろんですが、注目すべきは抱き上げる時・おろす時です。椎間板内圧の表を見てもわかるように、膝を伸ばした格好での持ち上げ動作時には腰に相当な負担がかかるためです。

原則として、以下の2点を意識しましょう。

・前かがみを避け腰椎の生理的前弯を保つこと。

・上半身のひねりを避けること。

S所長
S所長

一見前かがみであっても、腰椎の「生理的前弯*」を保つことで腰への負担は軽減されます。

*腰椎の生理的前弯

オムツ交換

両脚を前後に開いて行うことで、腰椎の生理的前弯を保つ。

トイレ介助

中腰は避け、片膝立ちで腰椎の生理的前弯を保って行う。

園児の正面で実施することで、腰のひねりを軽減する。

食事介助

園児の正面で実施することで、腰のひねりを軽減する。

抱っこ

抱き上げる際は、

生理的前弯を意識する

膝は伸ばさず軽く曲げておく

両脚を前後に開く

体の使い方同様、以下の2点を意識した環境作りを心がけましょう。

・前かがみを避け、腰椎の生理的前弯を保つ。

・腰のひねりを軽減すること。

オムツ交換

おむつ交換台・ベッドを利用し、作業面を高くすることで前かがみを軽減させる。

トイレ介助

広いスペースを確保し、良いからだの使い方を可能とする。

掃除道具など、介助の邪魔になりそうなものは片付けておきましょう。

食事介助

自身・園児の座る位置を工夫する。

なるべく自分の正面で作業ができるよう、工夫しましょう。隣同士となると必然的に腰をひねることになるため、対面する位置や直角の位置に椅子を配置できると良いでしょう。

抱っこ

抱っこ紐を使用する

少し手間かもしれませんが、腰への負担をグッと減らすことが可能です。これは、子どもの重心を自身へ近づけることで、テコの長さを短くすることができるためです。

事務作業

大人用のデスクを使用する

大人に合った高さのものを使用し、前かがみ姿勢を防止しましょう。

ここでは、『症状を和らげる』というよりも、『良い体の使い方をする』為に必要なストレッチを紹介します。 

両脚を前後に開いて作業するために

①大腿四頭筋

大腿四頭筋の柔軟性が低下すると、脚を後ろへ引きづらくなってしまいます。この筋肉の柔軟性を高めておくことで、腰に優しい体の使い方が可能となります。

②大臀筋

大臀筋の柔軟性が低下すると、脚を前に位置しづらくなってしまいます。この筋肉の柔軟性を高めておくことで、腰に優しい体の使い方が可能となります。

腰を丸めずに作業するために

①ハムストリングス

ハムストリングスの柔軟性が低下すると、骨盤が引っ張られ腰を丸くする方向に力が働いてしまいます。この筋肉の柔軟性を高めておくことで、腰に優しい体の使い方が可能となります。

ストレッチと同様、『腰にとって良い体の使い方をする』為に必要なトレーニングを紹介します。

両脚を前後に開いて作業するために

①大腿四頭筋

脚で踏ん張り体を安定させるために必要な筋肉となります。

②大臀筋

同じく、脚で踏ん張り体を安定させるために必要な筋肉となります。

腰を丸めずに作業するために

①腸腰筋&脊柱起立筋群

腰を伸ばすために必要な筋肉となります。

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